【オリコン訴訟】烏賀陽弘道氏の勝訴で終結 ――オリコン(小池恒社長)が自爆せざるを得なかった理由
オリコンが自爆した。
「請求の放棄」をおこなったのだ。「請求の放棄」とは自ら全面敗訴を認めることである。(注1)
これは奇っ怪な事態である。オリコンは、烏賀陽弘道氏に対して一審で勝訴していた。名誉毀損を認められていた。賠償金100万円を認められていた。
それにもかかわらず、オリコンは自ら全面敗訴を認めて、訴訟を終わらせた。言わば、オリコンは自爆したのである。
1 オリコンは烏賀陽弘道氏に対して東京地裁で勝訴した。
2 しかし、オリコンは全面敗訴を認めて訴訟を終わらせた。
通常、一審で勝訴した方は二審でも有利である。有利なはずのオリコンが全面敗訴を認めて、訴訟を終わらせる。これは普通あり得ない行為である。歴史に残るみっともない負け方である。
なぜ、このような奇っ怪な事態が起きたのか。なぜ、オリコンは自爆せざるを得なかったのか。
それは、オリコンは烏賀陽弘道氏個人を訴えていたからである。SLAPP(恫喝訴訟)をおこなっていたからである。「腹黒い」行為をおこなっていたからである。
既に、私は次のように書いていた。
その「腹黒い」行為がオリコンに返ってくる可能性がある。個人だけを訴えたことが裏目に出る可能性がある。
先に説明した烏賀陽氏側の新しい主張を思い出していただきたい。
そもそも烏賀陽弘道氏はそのような内容を発言していない。
この主張が認められれば、次のような結論が出る。
烏賀陽氏は発言していない。発言していないことを名誉毀損には問えない。
だから、オリコンの負け。
この主張が見事に決まると、オリコンにとっては最悪の結果になる。
責任を取らせる相手がいなくなってしまうのである。次の事実に注目していただきたい。
仮にインフォーバーン社に名誉毀損の責任があったとしても、オリコンはインフォバーン社に責任を取らせることが出来ない。訴えていないのだから。
手も足も出ないのである。
仮に雑誌『サイゾー』に載った「コメント」がオリコンの名誉を毀損するものだったとする。その場合、烏賀陽氏が「発言していない」ならば、責任があるのは『サイゾー』編集部・インフォバーン社である。誰かがその「コメント」を作ったのは間違いないのである。
しかし、オリコンは、インフォバーン社に責任を取らせることが出来ない。訴えていないのだから。
普通に名誉毀損訴訟を起こしておけば、そのような状態にはならない。インフォバーン社も訴えておけば、そのような状態にはならない。しかし、個人だけを狙い撃ちにしたために、何も出来なくなってしまう。無様に負けてしまう。
自分で掘った穴に自分で落ちたのである。
SLAPPが裏目にでたのである。自業自得である。
オリコンが自爆せざるを得なかったのは、正にこの形になってしまったからである。
烏賀陽氏側の主張が見事に決まったのである。烏賀陽弘道氏が「そのような内容を発言していない」ことが明らかになったのである。『サイゾー』編集部員が烏賀陽弘道氏が「そのような内容を発言していない」事実を証言したのである。編集部員がまとめた「コメントが不正確なもの」であることを認めたのである。(注2)
これで、オリコンは「自分が掘った穴に落ち」てしまった。
烏賀陽弘道氏が「そのような内容を発言していな」ければ、烏賀陽弘道氏に責任を取らせることは出来ない。また、訴えていない他の関係者に裁判において責任を取らせることも出来ない。
だから、オリコンは、「請求の放棄」をおこなわざるを得なくなったのである。自ら全面敗訴を認めざるを得なくなったのである。自爆せざるを得なくなったのである。
オリコンはSLAPPをおこなったゆえに無様に負けたのである。
諸野脇@ネット哲学者
(注1)
「請求放棄」については次のページを参照のこと。
● 裁判所が判決を出さなくても勝訴できるんですね! オリコンの「自己敗訴宣言」=「請求放棄」
● 請求の放棄と訴えの取り下げについての質問です。
(注2)
例えば、朝日新聞の次の記事を参照のこと。
『サイゾー』が、自らまとめた「コメント」が「不正確」だったことを認めている。