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2007年07月 アーカイブ

2007年07月06日

なぜ、欧米ではインターネット選挙が実現しているのか

 それでは、なぜ、欧米ではインターネット選挙が実現しているのか。
 欧米諸国にも、インターネットの利用を規定する法律など無かった。法律を作った時には、インターネットなど無かったのだから。
 この点では、日本と欧米諸国とは同じである。

 しかし、現実のインターネット利用では大きな差がついている。
 日本では選挙活動にインターネットが利用されていない。(ごく一部の例外を除いて。)それに対して、欧米では選挙活動にインターネットが利用されている。米国でも、英国でも、ドイツでも、フランスでも、ほとんど自由にインターネットが利用されている。

 それはなぜか。
 人々の行動が違うからである。関係者の行動が違うからである。
 欧米では、規定がなければ、候補者が勝手にインターネットの利用を始める。また、市民も勝手に利用を始める。選管が「法律に觝触する。」と言っても、彼らは利用を止めない。インターネットについての規定はないのだから。
 その現状に合わせて、選管も行動を選ぶ。「法律に抵触する。」と言っても、誰も従わないのである。言っても、恥をかくだけである。だから、そんなことは言わない。
 インターネット利用を認めるしかないのである。
 
 こうして、インターネットを選挙で利用できる世界が出来あがる。
 世界が、別の一点で「安定」したのである。
 それは、候補者の行動が違うからである。市民の行動が違うからである。選管の行動が違うからである。

 世界とは、関係者が影響を与え合い安定した一点である。
 だから、関係者の行動が違えば、当然、それに応じて別の世界が現れる。別の一点で世界は「安定」する。  欧米諸国では、自由にインターネットを利用できる一点で世界が「安定」した。  日本では、インターネットを利用できない一点で世界が「安定」した。  日本と欧米とは全く違う世界になったのである。

 この違いの原因を法律の違いに求める考えがある。
 しかし、それは間違いである。
 原因は人々の行動の違いである。人々の行動が違ったため、別の世界が現れたのである。世界が別の一点で「安定」したのである。関係者が影響を及ぼし合い、そのような世界を作っているのである。

2007年07月20日

「お上」に「お伺い」を立てる愚

 日本では、「お上」に「お伺い」を立てた者がいた。新党さきがけである。
 〈インターネットの利用が公職選挙法に違反するかどうか〉を自治省(当時)に問い合わせたのである。(注)
 
  http://www.jsdi.or.jp/~y_ide/9610saki_qa.htm
 
 率直に感想を述べる。

 アホか!

 役人に「違反するかどうか」を聞けば、「違反する」と言うに決まっている。もちろん、新党さきがけも、そのように言われた。規制が彼らの権力の源なのである。
 次のような笑い話がある位である。

 賄賂を取り過ぎて、便所の番人に左遷された役人がいた。
 友人が心配して声をかけると、彼曰く。
 「なあに、大丈夫だ。入りたい奴を入れないようにして、出たい奴を出られないようにすればいいだけだ。」
 
 便所に「入れないように」規制すれば、金が取れる。「出られないように」規制しても、金が取れる。
 役人の権力は、このような規制があるから成立するのである。だから、彼らは出来るだけ規制を多くしようとする。(彼ら自身に、明確にそのような意識があるかどうかは分からないが。)
 「お上」に「お伺い」を立ててはいけなかったのである。聞かずに、インターネットの活用を始めればよかったのである。みんなで活用を始めればよかったのである。
 インターネットの活用が一般的になってしまえば、もう変えようがない。役人も「事後承認」せざるを得なくなる。
 人々の行動が違えば、世界が変わっていた可能性がある。別の一点で「安定」していた可能性がある。
 インターネット選挙が実現していたかもしれないのだ。
 
 
(注)

 新党さきがけの質問は、押し気味の質問である。つまり、大筋で質問の形をした批判である。質問としてはよく出来ている。
 しかし、現実には、逆効果になってしまった。役人に規制をするきっかけを与えてしまった。
 社会現象として、興味深い事例である。

2007年07月21日

〈問い合わせ〉行為自体が相手の行動を変えてしまう

 新党さきがけは、自治省(当時)に〈インターネットの利用が公職選挙法に違反するかどうか〉を〈問い合わせ〉た。
 〈問い合わせ〉ただけである。
 だから、論理的には、自治省の解釈に影響を与えないはずである。
 
 しかし、現実問題としては違う。
 〈問い合わせ〉があったという事実自体が、彼らの解釈に影響を与えるのである。次のような情報を彼らに与えているのである。
 
 1 〈問い合わせ〉が来るほど重要な問題である。
 2 公職選挙法に違反しているかもしれない問題である。

 
 〈問い合わせ〉をしたという事実が相手の解釈を変えてしまうのである。〈問い合わせ〉が無ければ、見逃していた問題に気がついてしまう。必要以上に、その問題を重要だと考えてしまう。
 〈問い合わせ〉は、単なる〈問い合わせ〉ではない。〈問い合わせ〉という行為をおこなっているのである。
 こちらが〈問い合わせ〉という行為をしたことが、相手の行動を変えてしまうのである。
 
 松井証券が「個人投資家の投資行動」の研究を「無期限で延期」したという報道があった。 

 顧客の株式売買データなどを匿名で一橋大に提供する計画だったが、提供に同意しない顧客からの問い合わせが3千件以上も寄せられたため。松井は「説明不足の面もあり、延期を決めた」としている。……〔略〕……松井によると、5月30日に顧客向けのホームページで研究について、拒否する人は連絡するようにと呼びかけた。〔『朝日新聞』2007.6.6.〕
 
 もう、読者の皆さんはお分かりであろう。
 「拒否する人は連絡するようにと呼びかけた」こと自体が、顧客に間違った情報を与えたのである。〈「拒否」が必要なほど問題のある計画だ〉という情報を与えたのである。
 「売買データ」を「匿名」で統計的に処理することは、顧客に何の被害も与えない。しかし、普通、何の被害も与えないような件で「呼びかけ」はおこなわない。このように「呼びかけ」られれば、〈何か問題があるのではないか〉と不安になるのは自然である。
 
 新党さきがけは、このような〈問い合わせ〉行為自体の影響について無自覚であった。記号活動の複雑性を理解していなかった。
 次のような区別が、この問題の理解の役に立つ。
 
  意味論 …… 言葉とその指示対象との関係の分析
  語用論 …… 言葉とその使用者との関係の分析

 
 〈問い合わせ〉行為は、語用論の範囲の問題である。言葉によって使用者が影響を受けるのである。その影響が問題なのである。
 新党さきがけは、その影響に無自覚であった。間違って意味論範囲の問題だと考えていたのである。
 意味論と語用論の区別が出来ていなかったのである。

2007年07月22日

ブログ規制は民主主義の否定

 ブログについても、「お上」に「お伺い」を立てた者がいる。〈ブログの利用が公職選挙法に違反するかどうか〉を〈問い合わせ〉たのである。
  
  http://matimura.cocolog-nifty.com/matimulog/2005/08/no_action_lette_3b49.html
  http://matimura.cocolog-nifty.com/matimulog/2005/09/election_ecb5.html
  
 率直に感想を述べる。
 

 アホか!
 
 まず、次の事実を確認しよう。
 
 あなたのブログを役人は読んでいない。

 
 役人が、全てのブログを確認するのは不可能である。ブログは数百万もあるのだ。
 まず、始めてしまえばいいのである。(既に詳しく論じたように、インターネットの利用を規定する法律など無いのだから。)

 向こうが気づいて何か言ってきたら、その時に対応を考えればいい。
 私ならば、インターネット上の選挙活動が「摘発」されなかった前例を挙げて、説明を求める。「戸田氏のサイトがよくて、なぜ自分のサイトが悪いのか」を文章で回答させる。
 面倒ならば、その時に、候補者名を伏せ字にすればよい。そして、ブログで選管・警察に規制された事実を伝えればよい。
 却って、注目度が上がってアクセスが増えるであろう。(笑)
 
 民主主義とは突き詰めれば、〈一人が一人を説得すること〉である。ある一人の人間が別の一人の人間の考えを変えようと働きかけることである。
 だから、〈一人が一人を説得する〉権利が認められていることが重要である。表現の自由が認められていることが重要である。
 特定の候補者をブログで応援するのは、民主主義の中核的行為である。必要不可欠の行為である。
 だから、ブログでの特定候補者の応援を規制するのは不当である。民主主義社会ではあってはならないことなのである。
 

2007年07月23日

【戸田ひさよし氏がブロガーへ呼びかけ】 「あなたのブログで『特定候補者への投票呼びかけ』を実行しよう」

 門真市議の戸田ひさよし氏は、インターネット活用の先駆者である。「選挙戦にHPを断固活用」と明言して選挙戦を戦い、トップ当選した。

 その戸田ひさよし氏が斬新な提案をしている。「ネット選挙活動規制」に従わないように呼びかけているのだ。 

あなたのHP・ブログで「特定候補者・団体への投票呼びかけ」を断固として実行しよう!「選挙演説の内容報道」も行おう!

 これは、ブロガーへの呼びかけである。
 既に述べたように「ブログ規制は民主主義の否定」である。
 だから、この呼びかけは、民主主義を守るための重要な呼びかけである。

 特集ページは次である。(なぜか、私の文章が満載である。笑)
 
  ● ネット選挙活動規制を今私達が突破する!「自由言論戦士」大特集
 
 ぜひ、ご注目いただきたい。

2007年07月24日

【戸田書簡への返信】 ブログで特定候補を応援するのが民主主義なのだ

 戸田ひさよし氏から次の公開書簡をいただいた。
 
  http://www.hige-toda.com/x/c-board/c-board.cgi?cmd=one;no=1866;id=01
  
 下の文章は、それに対する返信である。
 民主主義の根本原理から、ブログ規制に反対する論を立てている。
 ぜひ、ご注目いただきたい。


● ブログで特定候補を応援するのが民主主義なのだ

戸田 ひさよし 様

 民主主義とは、突き詰めれば〈一人が一人を説得すること〉です。ある一人の人間が別の一人の人間の考えを変えようと働きかけることです。
 そのような働きかけによって、最初は少人数の者しか持っていなかった考えが広まって大きな力になる。そのようなダイナミックな過程が民主主義なのです。
 だから、ブログ・ホームページで次のような訴えをするのは、民主主義社会では必要不可欠のことです。
 
 「A候補に投票しよう。理由は……である。」

 しかし、総務省は、この必要不可欠な行為を禁止しようとしています。公職選挙法で禁止されていると言うのです。
 彼らは正気なのでしょうか。
 それは、次のように言っているも同然なのです。
 
 「日本は民主主義国ではありません。言論の自由などありません。」
 
 まず、インターネットの利用を禁止する規定は公職選挙法にはありません。これは、既に詳しく論じました。
 
  ◆ インターネット選挙 アーカイブ
  http://shonowaki.com/cat3/
 
 そして、仮にそんな法律があったとすれば、直ぐに撤廃するべきでしょう。民主主義の中核的な活動を禁止する法律が存在するのならば、そんな国は民主主義国ではありません。
 
 また、別の意味でも、彼らは正気とは思えません。
 彼らは、数百万もあるブログ・ホームページをどうやって監視するつもりなのでしょうか。総務省自身が発表したブログ・ホームページの作成者数が約466万人(2006年10月時点)なのです。数百万を監視できると考える方がどうかしています。
 監視しようがないのです。
 
 戸田さんは「誰もが実行できる戦術」を提案されています。
 ブログ・ホームページを持つ人間が、みんなで次のように書くという「戦術」です。
 
 「A候補に投票しよう。理由は……である。」
 
 これは実に簡単なことです。(そして、重要なことです。)
 そして、たぶん、総務省・選管はその書き込みを発見できません。

 世界は、行動の積み重ねで変わることがあります。何万人という人が、インターネットの利用を始めてしまえば、もう規制のしようがないのです。既成事実化してしまうのです。
 
 この戸田提案に賛成です。
 私は、この戸田提案を全面的にサポートしていくつもりです。
 
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                   諸野脇 正 (しょのわき ただし)
                 【Web Site】  http://www.irev.org/
                 【ブログ】   http://shonowaki.com/

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2007年07月28日

【実験】 発見できるかな(笑)

 ブログで特定候補を応援したとしても、総務省・選管・警察は発見できない。
 発見したとしても、「摘発」は出来ない。
 既に、詳しく論じてきた通りである。
 
 それでは、実験をしてみよう。
 このブログで特定候補を応援してみるのである。
 彼らはこの書き込みを発見できるだろうか。(笑)
 

 東京選挙区は 鈴木 寛 に投票しよう。
 理由は、インターネットで〈情報公開〉を熱心にしているからである。
 Yahoo!みんなの政治を見てみる。
 
  参議院議員 民主党 鈴木 寛(スズキ カン)
   http://seiji.yahoo.co.jp/giin/minshu/000113/
  
 活動記録(597件)、議案コメント(649件)と表示される。
 これは驚異的な数である。
 別の議員を見てみよう。
 
  参議院議員 自民党 保坂 三蔵(ホサカ サンゾウ)
   http://seiji.yahoo.co.jp/giin/jimin/000190/
  
 活動記録・議案コメント、ともに0件である。
 どちらがインターネットでの〈情報公開〉に熱心かは一目瞭然である。
 
 東京選挙区は、インターネットによる〈情報公開〉に力を入れている鈴木寛に。
 「議会の〈情報公開〉こそ『変革』の中心」なのであるから。

 
 今、こっそりと(笑)特定候補を応援してみた。
 これは実験である。
 
 このブログは、インターネット選挙問題については目立っているブログである。このブログで問題なければ、普通のブログで問題が起こることはまず無いであろう。

 さあ、どうなるか。
 発見できるかな。(笑)

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