« 2007年09月 | メイン | 2008年02月 »

2008年01月 アーカイブ

2008年01月03日

「哲学者のひらめき」を始める

 新カテゴリー「哲学者のひらめき」(笑)を開設する。
 ここでは、ひらめき段階のものを発表する。精密な文章になる前の段階のものである。

 これは、いわばRFC(Request For Comments)である。インターネットでは、たたき台になる文章に「RFC」と注記して発表する文化がある。たたき台になる文章にコメントを求めるのである。
 ひらめき段階で発想を共有するのである。共有して、多くの人で検討するのである。

 この「哲学者のひらめき」がそのような機能を果たすことを望んでいる。

2008年01月04日

お前(法務大臣)は、既にロボットなのだ

 次のような報道があった。 

 鳩山邦夫法相は25日の閣議後会見で、死刑執行に関して「法務大臣が絡まなくても自動的に(執行が)進むような方法を考えたらどうかと思うことがある」と述べ、死刑執行に必要な法相のサインがなくても自動的に執行が行われるようなシステムをつくるべきとする考えを明らかにした。(『産経新聞』2007.9.25.)

 誠に奇妙な主張である。
 もう既に、法務大臣は自動ロボットなのである。「自動的に執行が行われる」「システム」なのだ。
 法務大臣には何の自由も無い。刑事訴訟法で「6箇月以内にこれをしなければならない」と決められているのだから。
 法務大臣機関説である。
 法務大臣ロボット説である。

                      諸野脇@ネット哲学者


● 「法務大臣に責任をおっかぶせない死刑執行を」鳩山法相
 (9月25日12時19分配信 産経新聞)

 鳩山邦夫法相は25日の閣議後会見で、死刑執行に関して「法務大臣が絡まなくても自動的に(執行が)進むような方法を考えたらどうかと思うことがある」と述べ、死刑執行に必要な法相のサインがなくても自動的に執行が行われるようなシステムをつくるべきとする考えを明らかにした。問題提起としたうえの発言で、法務省に検討は命じていないという。

 死刑執行については、刑事訴訟法475条で「法務大臣の命令による」と規定。さらに同法475条第2項は、執行は死刑判決の確定後6カ月以内に行わなければならないと定めているものの、実際は確定から執行まで数年かかるのが通例となっている。

 鳩山法相は法律の規定と死刑執行の現状との乖離(かいり)を指摘したうえで、「法務大臣に責任をおっかぶせるような形ではなく、半年以内に死刑執行されなければならないと自動的に進むような方法がないのかなと思う」と述べた。

  http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070925-00000907-san-soci


● 刑事訴訟法

第475条 死刑の執行は、法務大臣の命令による。

2 前項の命令は、判決確定の日から6箇月以内にこれをしなければならない。但し、上訴権回復若しくは再審の請求、非常上告又は恩赦の出願若しくは申出がされその手続が終了するまでの期間及び共同被告人であつた者に対する判決が確定するまでの期間は、これをその期間に算入しない。

死刑執行ロボット(法務大臣)に「責任」など無い

 法務大臣は死刑執行ロボットである。
 刑事訴訟法475条第2項で、六ヶ月以内に死刑執行の命令を下すように義務づけられているのである。
 しかし、鳩山邦夫法相は言う。

 法務大臣に責任をおっかぶせるような形ではなく、……〔略〕……(『産経新聞』2007.9.25.)
 
 鳩山邦夫氏は、法務大臣に「責任」があると考えている。
 しかし、それは間違いである。法務大臣に「責任」など無い。ロボットに「責任」など無い。
 現行法では、法務大臣は六ヶ月以内に命令を下すように義務づけられている。命令を下さないという選択肢は無い。つまり、法務大臣には選択の余地が無いのである。
 選択できないものに「責任」は無い。

 自分で選択できないものについて、「責任」を求められても困る。自分で選択できないロボットに「責任」など無いのである。
 
 鳩山邦夫氏の発言に対して、社民党の又市征治氏は言う。
 重大な使命を放棄する、あるまじき発言。(NIKKEI NET 2007.9.28.)
 
 「重大な使命」など無いのだ。
 ロボットなのだから。必ず署名することを義務づけられているのだから。
 法務大臣は死刑執行ロボットである。
 
 まず、この事実を確認しよう。
 多くの人がこの問題について発言している。しかし、その発言のほどんどが間違っている。
 それは、この事実を見落としているからだ。
 法務大臣のロボット性に気がついていないからだ。
 
                      諸野脇@ネット哲学者
 


● 死刑執行「自動的に」、法相発言に野党から批判
 (NIKKEI NET 2007.9.28.)
 
 鳩山邦夫法相が死刑執行を巡り「法相が絡まなくても自動的に進むような方法を考えたらどうか」とした発言に、野党から反発が相次いだ。民主党の簗瀬進参院国会対策委員長は28日の記者会見で「極めて無原則だ」と批判。社民党の又市征治幹事長も「重大な使命を放棄する、あるまじき発言。福田康夫首相の任命責任も含め、国会で追及しないといけない」と強調した。

 法相の兄である民主党の鳩山由紀夫幹事長は記者会見で「あの人と思い浮かべて(執行の)ボタンを押すようなことをしたくない、という弟の優しさから出ているのかもしれない」としつつ「軽率な部分もあった」と述べた。(20:01)

 http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20070928AT3S2801Y28092007.html


● 刑事訴訟法

第475条 死刑の執行は、法務大臣の命令による。

2 前項の命令は、判決確定の日から6箇月以内にこれをしなければならない。但し、上訴権回復若しくは再審の請求、非常上告又は恩赦の出願若しくは申出がされその手続が終了するまでの期間及び共同被告人であつた者に対する判決が確定するまでの期間は、これをその期間に算入しない。

2008年01月06日

法治国家・三権分立の否定だと分からないのか

 法務大臣は六ヶ月以内に死刑執行の命令を下すように義務づけられている。しかし、現実には、7年半の時間がかかっている。極端な場合は、死刑囚が獄中で寿命まで生きることすらある。
 次の事実を確認してもらいたい。
 
 1 法律を守らせる立場の法務大臣が、法律を破っている。つまり、法治国家を否定している。
 2 司法で決定された判決を行政が変えている。つまり、三権分立を否定している。

 法務大臣が定められた期限を守っていない。つまり、法律を破っている。法律を守らせる立場の人間が自ら法律を破っている。これは、法治国家の根本を揺るがす大問題である。異常な状態である。これでは次のように考える者が出ても当然である。「法務大臣が法律を守らないんだから、法律は守らなくていいんだ。」
 死刑判決は司法が出したのである。それを法務大臣という行政の長が覆してしまっている。獄中で寿命まで生きた場合は、事実上、死刑を無期懲役に減刑したことになる。これは、三権分立の原則を否定する行為である。
 つまり、法務大臣は死刑について「責任」を感じてはいけないのである。「責任」を感じて「死刑を執行していいかどうか。」と考えること自体が三権分立の否定になるからである。裁判の判決を否定することになるからである。
 
 実は、私は、法務大臣が主義を持って行動することを認める。確信犯として、〈法務大臣という立場を占拠して、死刑の執行を意図的に止める〉という主義もあり得るだろう。
 しかし、主義は首尾一貫したものでなくてはならない。自分が何をしているかを知らずに、その行為をおこなうようではいけない。
 つまり、自分の行為が「法治国家を否定して、三権分立を否定してる」という事実を自覚しなくてはならない。
 また、主義を持ってした行為だということを公開できなければならない。「〈法治国家・三権分立より人命の方が大切だ〉という判断をして死刑執行を意図的に止めている。」と公の場で言い切らなくてはならない。
 主義には、首尾一貫性・公開性が必要なのである。そのような主義でなければ、大したものではない。尊重する必要はない。
 
                        諸野脇@ネット哲学者


2008年01月07日

死刑執行ロボット(法務大臣)を操作しているのは誰だ

 法務大臣は死刑執行ロボットである。
 ロボットには「責任」は無い。
 「責任」があるのは、ロボットを操作している者である。
 
 鉄人28号が東京タワーを破壊したとする。「責任」があるのは誰か。鉄人を操作している正太郎くんである。鉄人ではない。
 
 それでは、誰が、法務大臣を操作しているのか。
 次の法律によって、法務大臣は死刑執行ロボットにされている。

刑事訴訟法
第475条 死刑の執行は、法務大臣の命令による。
2 前項の命令は、判決確定の日から6箇月以内にこれをしなければならない。
 
 この法律を定めたのは立法府である。国会である。国会議員である。
 そして、この法律を変えることが出来るのも国会議員である。
 だから、まず「責任」があるのは国会議員である。
 
 さらに考えよう。
 その国会議員を選んでいるのは誰か。
 我々である。日本国民である。
 最終的には、「責任」は我々にある。
 
 法務大臣は死刑執行ロボットである。
 そして、そのロボットを操作してるのは我々なのである。
 
                         諸野脇@ネット哲学者

2008年01月27日

候補者をインターネットによる評価にさらそう

 選挙において、どの候補者を選ぶかはたいへん難しい問題である。
 例えば、車を選ぶよりも、たいへん難しい選択である。そして、たいへん重要な選択である。しかし、候補者の情報は非常に少ない。

 車の情報より、候補者の情報の方が少ない。

 車については、馬力等のさまざまなデーターが一覧表にされて比較されている。また、試乗記などの形で、実際にその車に乗って分かった事実が公表されている。これらはインターネット上で容易に見つけることが出来る。
 なぜ、インターネット上で、候補者の政策を一覧表にして比較しないのか。また、なぜ、候補者の今までの言動を評価しないのか。
 〈インターネットの利用が公職選挙法で禁止されている〉という間違った説に多くの人が従ってしまっているからである。
 この現状は私のブログで詳しく分析した。
 
  ● インターネット選挙 アーカイブ
  
 その中で、例外的にインターネットを活用し続けているのが戸田ひさよし氏のサイトである。今回は、インターネットを利用して、大阪府知事候補・橋下徹氏の言動を激しく批判している。
 
  ● 府知事選特集
  
 確かに、戸田ひさよし氏の後のチェ・ゲバラは気になる。(笑)
 戸田氏の発言が誹謗中傷だと思う人もいるかもしれない。
 しかし、それはそれでいいのだ。サイトを閲覧した人が自分で判断すればよい。(現に、戸田氏が公開したYouTube上の動画には否定的なコメントもついている。)
 また、橋本徹氏を支持する側も、反論・批判のサイトを作ればよい。
 多くの人の意見がインターネット上に公開されることによって、候補者のよし悪しが分かるのだ。
 候補者をインターネットによる多様な評価にさらすべきである。

 多様な評価こそが必要なのだ。
 しかし、現状では、候補者の評価がほとんどおこなわれていない。評価を妨害しているのが、総務省による公職選挙法の間違った解釈である。また、多くの人々がそれに従っていることにも問題があるだろう。
 車の情報よりも、候補者の情報が少ない事実を味わってみよう。
 不思議な私達の世界を味わってみよう。
 その中で、戸田ひさよし氏のサイトは一貫してインターネットを活用し続けている点でありがたい。
 そのありがたさと、チェ・ゲバラやサイトの内容の是非は別の問題である。(笑)

                         諸野脇@ネット哲学者

2008年01月28日

確信犯的構造

 選挙にインターネットを活用し続ける門真市議・戸田ひさよし氏に警察から「警告」が来た。公職選挙法違反の容疑である。
 
  http://www.hige-toda.com/x/c-board/c-board.cgi?cmd=one;no=3041;id=
 
 しかし、戸田ひさよし氏は喜んでいる。
 
> 戸田HPの断固たる選挙活用をこの8年間無視していた警察が、ようやく「警
>告」を出して、面白くなってきました。私の「闘争アドレナリン」が湧き出て来
>ています。
 
 普通、警察から「警告」を受けて喜ぶことはない。
 なぜ、戸田氏は喜んでいるのか。
 戸田氏が「確信犯」だからである。

確信犯
 宗教的教義や政治的信念を貫徹するためにあえて法を犯す犯罪であり,社会の変動期に政治犯罪として表われることが多い。確信犯人は,自己の行動が現行の法秩序に違反するという自覚は有しながら,より高い次元の法の理念を実現しようとする点で,犯罪動機を抑止する反対動機の形成が期待できないところに特徴がある。〔『ブリタニカ国際大百科事典 小項目版』〕
 
 確信犯とは、「信念を貫徹するためにあえて法を犯す」者である。「法を守ることは正しくない。法を犯す方が道徳的に正しい。」との信念を持つ者である。
 戸田氏は「確信犯」なのである。だから、「警告」が来ても喜んでいるのである。「警告」が来るのは、自分が正しい行為をした証拠なのである。
 厳密に言うと、戸田氏は確信犯ではない。インターネットの活用は公職選挙法に違反していないからである。総務省がそう解釈しているだけだからである。だから、「確信犯」とカッコを付けて表記した。
 しかし、戸田氏は、総務省・警察がそのような解釈をしていることを知っていた。知っていて、その解釈に従わなかった。「解釈に従わない方が道徳的に正しい。」という信念を持っていたからである。
 ここに確信犯的構造がある。
 
 実は、私も喜んでいる。
 次のような文章を書いたことがある。
 
  ● 【緊急提案】せっかくだから戸田ひさよし議員を逮捕したらどうか
   
 大阪府警も、やっと筋を通す気になったのであろう。
 「確信犯」を相手にするのは面倒なのである。
 その面倒をいとわず、大阪府警が頑張ってくださるのならば大変ありがたいことである。
 あえて火中の栗を拾おうとしてくださっているのである。
 大阪府警は「より高い次元の法の理念を実現」するための同志と言ってもいい。(笑)
 大阪府警の「英断」に期待する。
 
                         諸野脇@ネット哲学者


About 2008年01月

2008年01月にブログ「諸野脇 正の闘う哲学」に投稿されたすべてのエントリーです。過去のものから新しいものへ順番に並んでいます。

前のアーカイブは2007年09月です。

次のアーカイブは2008年02月です。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。

Powered by
Movable Type 3.34