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2009年09月 アーカイブ

2009年09月27日

【オリコン訴訟】企業の危機管理を考えるためのよい事例 ――世界的に悪評を広めてしまったオリコン・小池恒社長の行動

 オリコンは烏賀陽弘道氏に謝罪するべきである。
 既に詳しく論じた。
 
   ● オリコン・小池恒社長は烏賀陽弘道氏に謝罪するべきである
   
 筋として、烏賀陽弘道氏に被害を与えたオリコンは謝罪するべきである。
 そして、実は、謝罪した方がオリコンのためなのである。
 烏賀陽弘道氏は言う。

老婆心ですが、ぼくな、らサイゾー証言が出た時点で「私たちの提訴は事実誤認でした」「烏賀陽さんには長年たいへんご迷惑をおかけしました」「心よりおわびします」と会見して頭を下げるでしょう(ほら、産地偽装事件で食品会社がやっていたアレです)。

いえいえ、ぼくが被害者だからそう言っているのではありません。そうして「できるだけ早く」「できるだけ過ちを認めて」「できるだけ誠実に謝る」方がパブリック・イメージの好感度は高いからです。そして早く世論は忘れます。

逃げれば逃げるほど、隠せば隠すほど世論は攻撃します。これは企業経営の「危機管理」という分野ではイロハのイです。おわび会見など、1時間ほどガマンすればいいだけの話ではありませんか(笑)。「人の噂など××日」です。私はずっとマスコミで生きている人間として、よーく知っています。

ですから、どうかオリコンさん、企業イメージのためには自発的に会見を開いて謝ったほうがいいですよ。和解条項に謝罪が入っていなくても、企業市民としての倫理的責任はまだ残っています。ここはコーポレートイメージを挽回する最後のチャンスですよ。ぜひ災い転じて福となしてほしいものです。
   ● 「和解」という名の建物の中で自決してしまったオリコン


 その通りである。
 アメリカでは「銃の弾を全て出す」といった慣用句を使うと聞いたことがある。これは〈火種を残さない〉という意味である。弾を全て出してしまえば、発射できない。批判される可能性がある悪いところを全て謝罪するれば、批判されない。
 オリコン・小池恒社長が会見を開き、次のように謝罪したとする。
 「私たちの提訴は事実誤認でした」「烏賀陽さんには長年たいへんご迷惑をおかけしました」「心よりおわびします」

 謝るべきところにきちんと謝ったことになる。批判のしようがなくなる。
 オリコン・小池恒社長がこのような謝罪をしていれば、私は先の文章を書けなくなった。例えば、次のような批判は出来なくなった。 
 オリコン・小池恒社長は、かなり異常な感覚を持っているようである。

 謝罪していれば、「異常な感覚」ではない。正常な感覚を持っていることになる。
 だから、このような批判は出来なくなる。
 
 つまり、きちんと謝罪した方が得なのである。
 きちんと謝罪すると火種がなくなる。批判する種がなくなる。批判できなくなる。
 
 オリコンは笹浪雅義弁護士に依頼して、この訴訟を起こした。その結果が、「請求の放棄」という惨めな全面敗訴である。
 また、評判という観点でも、オリコンは大きなダメージを受けている。
 オリコンは、国境なき記者団から勧告を受けた初めての日本企業であろう。「報道の自由という基本的人権をはなはだしく犯している」と指摘された初めての企業であろう。
 多くの団体・個人がオリコンを批判した。
 詳しくは次の文章をお読みいただきたい。
 
   ● インターネットはオリコンを倒せるか   
   ● 江川紹子氏・佐高信氏がオリコンを批判する意見書
   
 オリコンは、この評判悪化の危機を乗り切らなくてはならない。
 そのためには、笹浪雅義弁護士ではなく、危機管理コンサルタントを雇うべきではないか。
 私はずっとそう思ってきた。
 
 国境なき記者団に批判してもらいたいと思っても、普通の企業では無理である。江川紹子氏や佐高信氏に批判してもらいたいと思っても、普通の企業では無理である。オリコンはスペシャルな企業なのである。
 日本の一企業が世界から批判を集めるなど、不可能に近い「快挙」である。(苦笑)
 
 危機管理の専門家には、ぜひ、オリコン・小池恒社長の行動の分析をしてもらいたい。オリコン・小池恒社長の行動は危機管理上の間違いの宝庫である。
 分析しがいがあるはずである。
 
                      諸野脇@ネット哲学者


〔補〕

 「オリコン訴訟」を論ずる文章は次の「アーカイブ」で全て読める。
 
   ◆ オリコンVS.烏賀陽 訴訟 アーカイブ
   
  

2009年09月28日

【オリコン訴訟】弁護士はSLAPP(口封じ訴訟)に荷担するべきではない ――笹浪雅義弁護士の責任

 オリコンは、雑誌『サイゾー』の取材に答えた烏賀陽弘道氏だけを名誉毀損で訴えた。記事を作った『サイゾー』編集部、『サイゾー』を出版したインフォバーン社は訴えなかった。
 企業から切り離された個人は弱い。五千万円もの高額訴訟を起こされては、弁護士費用だけでも大変な額になる。だから、このような訴訟は〈口封じ〉として機能する。
 アメリカの多くの州では、このような訴訟は違法である。SLAPP(口封じ訴訟)と判断されるのである。訴訟を利用した〈口封じ〉と判断されるのである。(注)
 
 このオリコンのSLAPPに笹浪雅義弁護士はどのように関わっていたのか。
 二つの可能性が考えられる。 

 A オリコンが笹浪雅義弁護士に烏賀陽氏個人を訴えることを求めた。
 B 笹浪雅義弁護士が烏賀陽弘道氏個人を訴えることをオリコンに提案した。
 
 Bならば、論外である。弁護士は企業に違法・不道徳な行動を提案するべきではない。
 仮に、Aだと仮定して、論を進めよう。
 笹浪雅義弁護士がオリコンから「烏賀陽弘道氏だけを訴えたい」と求められたとする。笹浪雅義弁護士は、このような場合、オリコンを止めるべきである。次のような事実をオリコンに伝えるべきである。
 1 そのような訴訟は、SLAPPと呼ばれ、アメリカの多くの州で違法とされている。
 2 日本には、SLAPPを明確に禁止する法律はない。しかし、訴訟権の濫用と判断される可能性がある。違法とされる可能性がある。
 3 違法でないにしても、道徳的に問題がある行為である。批判を受けるのは避けられない。
 4 また、この場合は、烏賀陽弘道氏はインタビューを受けたに過ぎない。記事を書いたのは『サイゾー』の記者である。烏賀陽弘道氏の発言を記者が歪めている可能性がある。その場合、烏賀陽弘道氏だけを訴えていては、敗訴してしまう。
 5 このようなことを考えれば、烏賀陽弘道氏個人を訴えるのではなく、ごく普通に名誉毀損訴訟を起こすべきである。つまり、烏賀陽弘道氏だけでなく、『サイゾー』編集部・インフォバーン社も一緒に訴えるべきである。
 
 このようなアドバイスをオリコンにするのが当然である。
 SLAPPは、アメリカの多くの州で違法とされる行為である。
 日本においても、訴訟権の濫用と判断される可能性がある。
 違法または不道徳な行為なのである。
 
 企業が不道徳な訴訟を起こそうとした時には、弁護士はそれを止めるべきである。
 そうでなければ、弁護士は社会の一員として認められないであろう。
 オリコンは反社会的な行為をおこなった。同時に、笹浪雅義弁護士も反社会的行為に荷担した。両者とも、社会の一員として認められないであろう。
 
 弁護士が、その社会的責任を放棄する時、弁護士の評判は地に落ちるであろう。
 金のためならなんでもする反社会的な職種と判断されるであろう。
 現実に、アメリカの弁護士にはそのようなイメージがある。
 しかし、日本においては、大筋で弁護士にはそのようなイメージはない。
 そのイメージは、多くの善良な弁護士によって作られてきたのである。
 
 だから、笹浪雅義弁護士の行為を多くの日本の弁護士は認めないであろう。
 そう私は信じている。
 
                     諸野脇@ネット哲学者
 
〔補〕
 
 弁護士法を見る。次のようにある。 
第1条 弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする。
 2 弁護士は、前項の使命に基き、誠実にその職務を行い、社会秩序の維持及び法律制度の改善に努力しなければならない。
 
 この弁護士法に照らして、笹浪雅義弁護士の行為は恥ずかしい。
 この訴訟は、国境なき記者団から「報道の自由という基本的人権をはなはだしく犯している」と批判されている。
 この訴訟は「基本的人権」を著しく犯している。ジャーナリズムという「社会秩序」を破壊しようとしている。(既に、詳しく論じた通りである。)
 つまり、弁護士法に違反しているのである。
 
 このような場合、弁護士会に懲戒請求をすることが可能である。
 SLAPP訴訟に荷担した弁護士には懲戒請求することが可能である。
 この事実を覚えておいて欲しい。
  

(注)

 次のサイトを参照のこと。
 
   ◆ SLAPP WATCH
   

※ 過去の文章は次のアーカイブでお読みいただきたい。

   ◆ オリコンVS.烏賀陽 訴訟 アーカイブ
   

2009年09月29日

祝・竹原信一市長 書類送検! ――ブログの選挙利用が公職選挙法違反か裁判で白黒つけよう

 竹原信一市長が公職選挙法違反の容疑で書類送検された。

 鹿児島県阿久根市の竹原信一市長(50)が、市長選の期間中にインターネットの自身のブログ(日記式のホームページ)を更新したのは公職選挙法違反にあたるとして、地元の県議、市議らが鹿児島県警に告発した問題で、県警が竹原市長を同法違反(文書図画の頒布)容疑で鹿児島地検に書類送検していたことが26日分かった。
(2009年9月26日13時34分 読売新聞)
  http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090926-OYT1T00544.htm?from=nwlb
 
 これは画期的なことである。ブログの更新に対する日本初の書類送検ではないか。
 今まで警察は「公職選挙法に違反する」と候補者を脅して、ブログの更新を止めさせていた。しかし、無視して更新する者には、何の行動も起こさなかった。何の「お咎め」も無かった。
 
   ● 【「解禁」宣言?】 「ネット選挙活動規制を突破する」運動にも「お咎め」なし
 
 警察の警告を無視して更新しても何の「お咎め」もなかったのである。さらに、「ネット選挙活動をしよう」と呼びかけても何の「お咎め」もなかったのである。
 私はこの状態を次のように名づけた。 
 摘発するぞ、摘発するぞ詐欺

 警察の警告に従った者が損をしたのである。いわゆる「正直者がバカをみる」状態だったのである。実に不明朗な状態であったのである。
 このような詐欺的行為を繰り返してきた警察がついに行動を起こしたのである。
 「摘発する」と言った行為を摘発するという当たり前の行動を行ったのである。(苦笑)
 
 次は検察である。
 検察には、ぜひ、きちんと起訴してもらいたい。起訴すれば、インターネットの選挙利用の是非を問う初めての裁判になる。初めて裁判所の判断が下されることになる。
 総務省の公職選挙法の解釈が正しいのか。それとも、私や竹原信一市長の解釈が正しいのか。裁判の場で、はっきりさせることが出来る。
 竹原信一市長も、次のように言っている。 
告示後のブログ更新の件では
警察の取調べはあったし、書類送検したはずだ。
検察と裁判所の皆様、今後、いったいどうしてくださるのでしょうか。理屈の通らない理由で犯罪者扱いされて票が減り、ずいぶん迷惑でしたが、私が犯罪者でなければマスコミとこの件に関する告発者、おそらく警察などが加害者ではないかと思うのですが。
無理な理屈を通すためにも逮捕、投獄してみますか?
  http://www5.diary.ne.jp/logdisp.cgi?user=521727&log=20090906
 
 竹原信一市長を起訴するのが筋である。
 警察はさんざん「公職選挙法に違反する」と言ってきたのだ。
 もし、これが起訴できないようであれば、警察は口を慎むべきである。
 起訴すら出来ないものを違法だと言い張るのは止めるべきである。
 「摘発するぞ、摘発するぞ詐欺」は止めるべきである。
 
                     諸野脇@ネット哲学者

 
〔補〕

 今までの詳しい経緯については以下の文章をお読みいただきたい。

   ● 選挙期間中もブログを更新して、市長に当選!
   ● ブログを更新して刑事告発される? オバマ大統領もびっくりだよ!
   ● ブログ・ホームページも作っていない議員に「不公平だ」と言う資格があるのか
   ● 竹原信一市長は、ブログ更新が公職選挙法違反でない理由を既に述べているのだ --刑事告発するなら、その理由を批判しなければならない
   ● そんなふぬけた姿勢ではブログ更新を刑事告発できないぞ!(笑)

   ● 祝・竹原信一市長 刑事告発! --ブログ更新が公職選挙法違反か白黒つけよう
   

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